【本物の味を届けるオーガニックワイン】〜マヴィ株式会社　田村 安さん〜

今の仕事を始めたきっかけを教えてください。

海外駐在中に、現地で偶然オーガニックワインに出会ったことが大きなきっかけでした。化学肥料や添加物に頼らず、自然の力と生産者のこだわりだけで造られたその味わいに、私は大きな衝撃を受けました。父の会社を継ぐ道もありましたが、自分自身の信じるものを形にしたいという思いが強く芽生え、起業を決意しました。日本では当時ほとんど知られていなかったオーガニックという価値を広めたい、その一心でスタートしました。

会社設立までの経緯を教えてください。

1997年から準備を始め、翌1998年3月にマヴィ株式会社を設立しました。最初はインターネットを活用した通信販売から事業を開始し、その後はレストランや酒販店への卸売へと広がっていきました。2005年には赤坂に直営店をオープンし、さらに多くのお客様にオーガニックワインを届けることができるようになりました。2023年には目黒区中根を経て、2025年2月には自由が丘駅徒歩1分の「ひかり街」に移転。常に「小さな生産者の顔が見えるワイン」を守り続けてきたことが、私たちの歩みを支えています。

信念を持ち続け、心から美味しいと思えるものを届けること

会社の特徴を教えてください。

当社の特徴は、オーガニックワインだけを扱っていることです。大規模に流通するワインではなく、生産者自身が畑で葡萄を育て、醸造し、自らの名前で世に送り出す——そうした“クラフトワイン”のみを取り扱っています。また、必ず現地を訪問して生産者と顔を合わせ、信頼関係を築いたうえで輸入することを大切にしています。長期的なつながりを基本とし、品質と信念を守るために、一時的な取引は行っていません。

お仕事で大切にしていることを教えてください。

一番大切にしているのは「品質を損なわずにお客様へ届けること」です。ヨーロッパからの輸送はすべて定温で管理し、日本到着後も15℃で保管。さらに店舗や取引先にも徹底した温度管理をお願いしています。生産者が丹精込めて造った味わいを、できる限りそのままの状態でお客様に楽しんでいただきたいからです。効率だけを重視せず、手間を惜しまないことが、本物を届けるために欠かせないと考えています。

この仕事のどんなところが好きですか？

マヴィという会社は、私自身そのものです。自分が選んだ生産者、自分が築いた関係、そして自分が届けているワイン。すべてが自分の人生とつながっていると感じています。好き嫌いというよりも、自分の歩みそのものが仕事と一体化しているんです。だからこそ、お客様や生産者の顔が見える環境の中で働けることに、大きなやりがいと誇りを感じています。この仕事は、私にとって人生そのものといえる存在です。

今後やりたいこと等、展望を教えてください。

自由が丘の店舗はわずか3坪の小さなスペースですが、立ち飲み形式で気軽に試飲していただける場になっています。こうした「小さなリアル店舗」は、実はとても低コストで運営できる仕組みです。今後は、このノウハウをオープンソースとして公開し、ワイン好きの方や第二の人生を考える方々に自由に活用していただきたいと考えています。全国に“小さなマヴィ”が広がり、より多くの人にオーガニックワインを楽しんでいただけたら嬉しいです。

成功哲学を教えてください。

私にとって成功とは「本物を知ること」に尽きます。広告やブランドに流されるのではなく、自分の舌で確かめ、心から美味しいと思えるものを届けること。それを続けていけば、自然と人は集まってきます。効率や規模の拡大よりも、信念を持ち続けることこそが、事業を長く続ける秘訣だと考えています。だからこそ私は、たとえ困難な時期があっても、オーガニックワイン以外に手を広げることはしません。本物を届け続けることが、私の哲学です。

インタビュー後記

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