まちの仕事人インタビュー
人に寄り添う会計の力
公認会計士税理士甲田拓也事務所 代表 甲田 拓也 (こうだたくや) さん インタビュー

「公認会計士税理士甲田拓也事務所」を経営する公認会計士・税理士の甲田拓也さん。新宿野村ビル23階にオフィスを構え、会計・税務だけでなく、経営支援や財務コンサルティングにも力を注いでいる。大手監査法人での経験を経て独立し、現在は約40名の仲間を率い、専門性と人間力を軸に事務所を成長させてきた。会計士としての確かな実務力に加え、人との関わりを何より大切にする姿勢が持ち味。数字の先にある「人の思い」に目を向け、温かく寄り添う仕事ぶりで多くの経営者から信頼を集めている。

税理士を目指したきっかけを教えてください。

高校生の頃から、「自分の力で生きていける専門職になりたい」という思いを持っていました。進学した大学の商学部で簿記の授業に出会い、数字の世界の面白さに一気に引き込まれたのが原点です。理屈ではなく積み重ねで理解が深まっていく感覚があり、「これは一生続けられる仕事かもしれない」と直感しました。勉強を重ねるうちに、会計を通じて企業や経営者の役に立てるという社会的な意義にも気づき、自然と税理士という道を志すようになりました。大学1年生の秋から本格的に勉強を始め、在学中に会計士試験の合格を目標に日々努力しました。周りが就職活動をしている中でも「自分はこの道で必ず結果を出す」と信じて歩み続けたその姿勢が、今の仕事の原点になっています。


事務所設立までの経緯を教えてください

大学卒業後は監査法人に入社し、上場企業の監査業務に携わりました。社会の大きな流れを数字で読み解く仕事にやりがいを感じつつも、次第に「もっと経営者の近くで力になりたい」という思いが強くなりました。5年ほど勤めた後、個人事務所で税務の現場を一から学び直しました。監査と違い、経営者と直接向き合う税務の仕事は、人の温度があり、支える実感のあるものでした。その経験を通じて「独立して自分の理想とする事務所をつくりたい」と決意し、31歳のときに開業しました。最初は埼玉・大宮の小さなオフィスで、スタッフはわずか一人。地道な努力を重ねながら少しずつお客様が増え、2016年に新宿へ移転。新しい環境で信頼できる仲間と出会い、チームとしての成長が始まりました。現在では40名規模の事務所へと発展し、「人が育ち、人を支える場所」を目指して日々挑戦を続けています。

事務所の特徴を教えてください

当事務所は「町の税理士事務所でありながら、上場企業も支えられる専門性を持つこと」が特徴です。所長である私が公認会計士の資格を有しているため、一般的な税務に加えて、上場企業や大規模法人の会計・内部統制にも対応できる体制を整えています。お客様の規模や業種を問わず、幅広いご相談に応じられる点が強みです。

もう一つ大切にしているのは「寄り添う姿勢」です。数字だけを扱うのではなく、経営者の想いや悩みに耳を傾け、心の通うコミュニケーションを何より重視しています。お客様の立場に立って考え、最善のサポートを提供する――それが私たちのサービスの原点です。

スタッフ研修でも「寄り添い」をテーマに、人としてどう向き合うかを徹底的に話し合います。従業員は皆、専門知識に優れ、人柄も温かく、事務所の誇りです。会計や税務の知識だけでなく“人に信頼される力”を磨く。その姿勢が事務所全体に根づいており、「ここなら安心して任せられる」と言っていただけることが、何よりの喜びです。

クライアントに対する「数字を超えた支援」

お仕事で大切にしていることを教えてください

私が最も大切にしているのは「人との関わり」です。お客様はもちろん、共に働く従業員やそのご家族までを含めて支えたいという思いがあります。事務所は組織である前に“人の集まり”ですから、まずはスタッフが安心して働ける環境を整えることを常に心がけています。

従業員を家族のように大切にし、互いに信頼し合える関係を築くことが、良い仕事につながると考えています。私がスタッフを思えば、スタッフもまたお客様を思う――そんな温かい循環をつくることが、事務所の理想です。

また、クライアントに対しても「数字を超えた支援」を意識しています。税務や会計の枠にとどまらず、経営者の想いに寄り添い、少しでも前向きな決断ができるよう伴走する。それが私たちの使命であり、この仕事の醍醐味だと感じています。

この仕事のどんなところが好きですか?

一番の魅力は、「人の人生に深く関われること」です。税務や会計というのは一見、数字を扱う仕事のように思われますが、実際には“人の想い”を扱う仕事です。経営者がどんな想いで会社を続けているのか、どんな悩みを抱えているのかを伺いながら、一緒に未来を描いていく。その過程にこそ、やりがいを感じます。

数字の裏には必ず人がいます。決算書一枚にも、経営者の努力や社員の汗、そして家族の支えがあります。それを受け止めた上で最善の提案をすることが、私たちの役割です。お客様から「相談してよかった」「気持ちが楽になった」と言っていただける瞬間が、何よりうれしいですね。

この仕事は、専門知識を磨くだけでなく、自分自身の人間力を高めてくれる仕事です。お客様との出会いを通じて成長し、人としての深みを得られる――それがこの仕事を続ける一番の理由です。


今後やりたいこと等、展望を教えてください

これからの目標は、事務所をより多くの人が活躍できる組織へと成長させることです。現在は約40名のスタッフが在籍していますが、今後5年でその倍以上の規模にし、税理士法人化を進めて全国主要都市にも拠点を広げたいと考えています。

ただし、規模の拡大自体が目的ではありません。私の中で最も大切なのは「人を育てること」です。スタッフ一人ひとりがこの事務所で成長し、「ここで働けてよかった」と思える環境をつくりたい。その先に、お客様や地域社会へのより大きな貢献があると信じています。

尊敬する野村克也監督の言葉に「金を残すは三流、名を残すは二流、人を残すは一流」というものがあります。私自身も、誰かの人生に良い影響を与えられる存在でありたいと思っています。財産や名声ではなく、人を育て、想いを次の世代につなぐこと――それが私の描く未来です。

成功哲学を教えてください

私が大切にしているのは、「信念」と「仁義」です。

まず「信念」とは、自分が何をやりたいのか、何のために存在しているのかを明確に持ち続けることだと思っています。仕事をしていると、迷ったり、流されたりすることもありますが、そのたびに原点に立ち返り、「自分は何を成し遂げたいのか」を問い続けるようにしています。信念があれば、どんな壁にぶつかっても必ず道は開けます。

そしてもう一つが「仁義」です。人との関わりにおいて最も大事なのは、約束を守り、筋を通すこと。どんなに小さなことでも、一度口にしたことは必ずやり遂げる。それが信頼につながり、人を動かす力になると信じています。

私はスタッフにも、「人としての仁義を大切にしよう」と伝えています。誠実であることは、最も強い武器です。信念と仁義を持って生きる――それが、私の人生の指針です。

インタビュー後記

お話を伺っていて印象的だったのは、甲田先生の言葉の一つひとつに「人を大切にする想い」が通っていたことです。

経営者としての冷静な判断力と、仲間やお客様に向ける温かいまなざし。その両方を兼ね備えている方だと感じました。

特に、「信念」と「仁義」という言葉に、先生の生き方のすべてが凝縮されているように思います。どんな状況でも自分の軸を持ち、約束を守り抜く。その背中が、スタッフの皆さんやお客様の信頼を生んでいるのだと実感しました。

静かに語られる言葉の中に、力強い意志と深い優しさがありました。数字では測れない価値を大切にし、人と人との絆を何より重んじる姿――まさに“信頼で築く会計事務所”という言葉がぴったりの方でした。

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