
都内有数のボードゲームカフェ「ディアシュピール(DEAR SPIELE)」代表の川口正志さんは、出版社やモバイルコンテンツ制作会社など、長年エンターテインメントに携わってきた経験を持ち、「人を楽しませたい」という思いから2015年に同店を開業。店内には国内外から集めた1,400種類以上ものゲームが並び、アットホームな空間で幅広い世代が遊びを通じて交流できる場を提供しています。現在は大塚にマーダーミステリー専門店も展開し、ボードゲーム文化の普及に尽力されています。
今の仕事を始めたきっかけを教えてください。
私はもともとゲームや、人が集まって楽しめる場づくりが大好きで、格闘ゲーム大会を自主開催するなど、さまざまな企画をしてきました。出版社やモバイルコンテンツ会社で働くうちに「もっとお客様に近い場所で楽しみを提供したい」と考えるようになり、趣味で集めていたボードゲームを仕事にしようと決意しました。2011年に初めて本格的なボードゲームに触れ、その奥深さに魅了され、自宅に収まりきらないほどのコレクションを「多くの方と楽しむ場」に変えたいという思いが、ボードゲームカフェを開くきっかけになりました。

会社設立までの経緯を教えてください。
高校卒業後は板金業に就き、その後出版社、モバイルコンテンツ制作会社などでさまざまな経験を積みました。モバイルコンテンツ会社の後半は管理部門に移り、ユーザーの皆さまと直接関われる仕事を探すようになりました。好きなことを仕事にしたいと思い、38歳で独立を決意し、当時東京ではほとんどなかったボードゲームカフェという業態に挑戦することにしました。手の届く資金で始められることもあって準備を進め、2015年に東中野でディアシュピールをオープンしました。
会社の特徴を教えてください。
ディアシュピールの一番の特徴は、圧倒的なゲーム数です。都内でも指折りの約1,400タイトルをそろえ、他のお店ではなかなか見かけないレアな作品も多数あります。国内外からボードゲームファンが訪れ、ドイツの方が「母国でもこんなにそろっていない」と驚かれるほどです。また、芸能人やVtuber、声優ファンイベントなど多彩な貸し切り利用にも対応しており、単なる遊びの場にとどまらず、人と人がつながるコミュニティスペースとして親しまれています。
お客様一人ひとりが心から楽しめる環境づくり

お仕事で大切にしていることを教えてください。
私が大切にしているのは、「お客様一人ひとりが心から楽しめる環境づくり」です。初めての方でも安心して参加でき、自然に会話が生まれるように、スタッフ教育やゲーム選びに細やかな配慮をしています。また、まだ国内では浸透していないマーダーミステリーなど新しいコンテンツにも積極的に挑戦し、小さなイノベーションを重ねて未来の定番をつくることを目指しています。
この仕事のどんなところが好きですか?
「お客様の笑顔を間近に見られること」が、何よりもうれしいです。自分が集めたゲームで多くの方が楽しそうに盛り上がる姿や、初めてご来店された方が夢中になり、友人を連れて再訪してくださった時にやりがいを感じます。ゲームは言語や世代を超えて楽しめるため、外国人のお客様とも自然に交流が生まれます。多様な方々が同じテーブルを囲み、笑顔で時間を共有する場を提供できることが、この仕事の一番の魅力です。
今後やりたいこと等、展望を教えてください。
これからは、ボードゲームやマーダーミステリーを通じて、より多くの方に「体験型エンターテインメント」の楽しさを知っていただけるよう、イベントや新しい企画をどんどん増やしていきたいと考えています。貸切利用や企業研修など、ゲームを通じた交流の場としての活用も広げていきたいです。まだ知られていない魅力的な作品や遊び方を積極的にご紹介し、誰もが気軽に楽しめる文化を根づかせていきたいと思っています。

成功哲学を教えてください。
私の成功哲学は、「好きなことに真剣に取り組み、小さくても新しい価値を生み出し続けること」です。格闘ゲーム大会の自主開催やマーダーミステリー導入など、常に一歩先を見て挑戦を続けてきました。自分が楽しいと思うことを、どうすれば多くの方に喜んでいただける形にできるかを考えることが大切だと感じています。その姿勢が、ディアシュピールの発展を支えているのだと思っています。
インタビュー後記
取材を通して感じたのは、川口さんの「遊び」への真っ直ぐな情熱でした。格闘ゲーム大会からボードゲームカフェ、マーダーミステリーまで、常に新しい文化を自ら作り出してきた姿勢はまさにエンターテインメントの開拓者。取材中も「お客様に喜んでほしい」という言葉が何度も出てきました。ディアシュピールの店内には、世界中のゲームが並び、その一つひとつが川口さんの挑戦と歩みを物語っています。これからも地域に根ざしながら、多くの人に驚きと笑顔を届けてくれることでしょう。
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