
日本酒アカデミー株式会社代表取締役を務める白根敦子さん。慶應義塾大学SFC卒業後、アパレルメーカー勤務を経て、父が経営する人材教育会社に参画。並行して友人のWeb関連事業や著名作家の事務局運営など、多彩な業務を経験。20年前に日本酒との出会いをきっかけに、日本酒伝道師養成講座の立ち上げに参画。現在は「日本酒をコミュニケーションツールとして活用し、良き飲み手を育てる」活動を展開。趣味は美味しい料理とお酒を楽しむこと。
今の仕事を始めたきっかけを教えてください。
20年ほど前、日本酒伝道師養成講座でご一緒している上杉先生と出会ったことがきっかけです。当時、先生が各地でされていたお話を「講座として体系化したらどうでしょう」とご提案したところ、「ではあなたがやってみて」と背中を押されました。それまでの私は父の会社や友人の事業を手伝っていましたが、このご縁を機に日本酒の世界へと踏み出しました。もともと日本酒は好きでしたが、先生からいただいた一杯が、それまでの日本酒のイメージを覆すほどすっきりとしていて、感動を覚えたことを今でも鮮明に覚えています。
講座を開始するまでの経緯を教えてください。
大学卒業後はアパレルメーカーで5年間、営業企画や営業サポートを担当しました。その後、父が経営する人材教育会社を手伝いながら、友人のWeb事業や作家の事務局運営などにも携わりました。上杉先生と出会い、日本酒講座の企画を始めた当初は、酒販店や卸業者などBtoB向けを想定していましたが、当時は酒販店が減少し、日本酒に深く向き合う場が少なくなっていたため思うように広がらず、途中で休眠状態になった時期もありました。その後、一般の方向けに講座を展開したところ好評を得て、再び事業を本格化させることとなりました。
時代の変化に合わせた柔軟な取り組みを心がけています。

会社の特徴を教えてください。
「日本酒をコミュニケーションツールとして活用する」という点が大きな特徴です。日本酒伝道師養成講座や、酒を楽しむ「酒学道」講座などを通じて、良き飲み手を育てることをコンセプトに活動しています。講座では、日本酒の知識やマナーだけでなく、料理とのペアリングも学びます。特に海産物との相性の良さは日本酒ならではであり、その魅力を体感いただくためのイベントも企画しています。卒業生は現在約220名に上り、今後は彼らが日本酒イベントや蔵開きで活躍できる機会も提供していく予定です。
お仕事で大切にしていることを教えてください。
大切にしているのは、偏見なく新しいことに挑戦する姿勢です。AIの活用や最新トレンドの研究など、時代の変化に合わせた柔軟な取り組みを心がけています。また、良いと思ったことや面白い発想はすぐに試し、形にしてみることも意識しています。講座の内容やイベント企画も、受講生や参加者が楽しめるかどうかを第一に考えています。
この仕事のどんなところが好きですか?
一番の魅力は、新しい人と出会えることです。講座やイベントを通して、日本酒を愛する方々や日本文化に興味を持つ方々とつながれるのは大きな喜びです。懇親会では料理と日本酒を囲みながら自然と会話が弾み、和やかな時間が流れます。そうした交流の中から、新たな企画やコラボレーションが生まれることもあり、毎回新鮮な発見があります。
今後やりたいこと等、展望を教えてください。
今後は、日本酒イベントでの「卒業生ガイド派遣」を実現したいと考えています。初心者の方は、会場でどのブースに行けば良いか迷うことも多いものです。そこで、知識を身につけた卒業生が付き添い、楽しく日本酒を体験できるようサポートします。また、日本酒と海産物のペアリングを広めるイベントや、国内外での発信にも力を入れたいです。過去にはイタリア米で日本酒を醸すプロジェクトにも挑戦し、日本酒文化を海外に伝える可能性を実感しました。こうした経験を活かし、世界にも日本酒の魅力を届けたいと考えています。
インタビュー後記
白根さんのお話を伺いながら印象的だったのは、「頼られたら応える」という姿勢と、柔軟に道を切り拓いてきた経歴です。アパレル業界から教育事業、そして日本酒の世界へ——その転機の背景には、常に人とのご縁と好奇心がありました。日本酒アカデミーの活動は、単なる飲み物の知識を学ぶ場ではなく、人と人をつなぐ温かい空間そのもの。これからもその輪が広がっていくことを心から楽しみにしています。
お問い合わせ
日本酒アカデミー株式会社
代表取締役 白根敦子
〒155-0032 東京都世田谷区代沢1-25-6
TEL:03-5486-9458
公式サイト:https://sake-ac.co.jp/
*お問い合わせの際、『区民ニュース』の記事を読みました。とお伝え下さい。