想いをかたちに、心に寄り添う　〜有限会社 第一社　田中淳一さん〜

会社の成り立ちとご自身が関わられた経緯を教えてください

当社は東京都港区に本社を構え、創業からおよそ70年を迎える地域密着型の葬儀社です。1950年の日本高度成長期、祖父が創業。以来、三代にわたって「人の最期に寄り添う」仕事を継承してきました。曽祖父も同業に携わっており、まさに“葬儀の仕事が血の中にある”と感じています。

私自身は10代のころ、アルバイトとして葬儀の現場を手伝ったのが最初でした。当時は「死」というテーマに抵抗もありましたが、ご遺族が涙の中にみえた生と死への「ありがとう」という感謝の言葉に尊さ感じ、この仕事がどれだけ社会的責任が重いのかを痛感しました。

専門学校を卒業後、デザイン業界など飲食業界など異業種を経験し30歳で正式に入社。以来15年以上、累計5,000件以上の葬儀に携わってきました。現在は副社長として、経営と現場の両面から「命を見つめ直す時間を社会に取り戻す」こ

とを使命に活動しています。

第一社の特徴を教えてください

「心に寄り添う、十人十色のお葬式」を理念に掲げ、形式よりも“想い”を重視したご葬儀

を提案しています。

家族葬・一日葬・自宅葬・直葬など多様な形式を扱うだけでなく、

● 故人の生き方を映すオーダーメイド葬儀

● ご遺族の心のケアまで寄り添う心理カウンセリング的サポート

● 医療・介護・寺院・終活機関との連携によるワンストップ支援

といった独自のトータルサポートを展開しています。

また、費用の明瞭化にも力を入れ無理なプランや営業を一切行いません。

お客様の状況・想い・ご予算に応じた最適な形をご提案することで、安心して「納得のいくお別れ」を迎えていただくことが私たちの使命です。さらに、港区を中心に介護施設・医療機関・お寺などで「葬儀・終活セミナー」を定期開催。地域住民とともに“生き方と死に方をつなぐ時間”を育む取り組みも行っています

どのようなことを大切にされていますか？

私たちは、「形式」よりも「想い」を第一に考えています。葬儀とは“悲しみを癒す場”であり、同時に“命の尊さを再確認する場”です。葬祭ディレクターの仕事は、単に「死を扱う」ことではなく、「生きた証を届ける」こと

だと思っています。

故人の人生を丁寧に形にすることで、残された方々の心に「前を向く力」が芽生えます。また、理事としてNPO法人「暮らしのグリーフサポートみなと」を運営に関わり、葬儀後の心のケアにも取り組んでいます。

悲嘆（グリーフ）を抱えるご家族が安心して想いを語れる“支えの場”を提供し、「葬儀は終わりではなく支えの始まり」であるという理念を形にしています。

相談のベストタイミングや注意点を教えてください

「もしもの時」だけでなく、「少し不安を感じたとき」にご相談いただくのが最善です。

介護や入院などの段階で一度お話をしておくことでいざという時に慌てず、心の余裕を持って判断できます。

当社では、事前相談・生前予約制度を設け、費用や流れを丁寧に説明しています。また、生前整理やエンディングノート、医療・介護との連携、お墓や供養の選択肢まで幅広くサポート。

“すぐに契約するための相談”ではなく、**“不安を安心に変える時間”**を提供することを心がけています。24時間365日の受付体制を整え、地域の「いざというときの窓口」として信頼いただいています。

今後、目指していることを教えてください

創業70年の歴史を礎に、次の時代に“葬儀文化の新しいかたち”を伝えることを目指してい

ます。AIや効率化が進む社会にあっても、最期の瞬間に求められるのは“人のぬくもり”です。

今後は、デジタル技術と人の心をつなぐ新たな取り組みとして、**デジタル記事やYouTubeチャンネル「葬儀塾」**を中心に、学校では教えてくれない“死生観や命の教育”をテーマにしたオンラインコンテンツを展開予定です。

また、子どもや若い世代に「いのち」や「感謝」を考えるきっかけを届ける啓発活動にも力を入れます。

葬儀を“悲しみの終わり”ではなく、**「命を尊び、絆をつなぎ直す時間」**として感じてもらえるように──。

「死をタブーにせず、命を語り合う社会をつくる」ことが、私たち第一社の挑戦です。

インタビュー後記

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